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2018.5.14
僕はネットラップが好きだった

僕はネットラップが好きだった


今回、記事を書くに辺り、ネットラップの何を書こうかとまず考えた

ネットラップという漠然とした概念について語るのは常に議論の渦中に見舞われ

皆が自然と避けて通るようになっていった道でもある

それをWWWの再定義と銘打たれた年に、敢えて踏み込んでみようと、踏み込むべきだと思った

今回の記事は、僕がネットラップを聞いて何を感じ、何を好きになったのかを書いてみた

小題には、今までネットラップの話をした過程で相手が放ったパンチラインを引用することとする



ネットラップは非リア充のためのヒップホップだよね

会いたくて会いたくて震える、と歌われてもその情景が想起できない

何故なら、経験がないから

雨は夜更け過ぎに雪に変わるだろう、と言われてもピンとこない

誰かを待つクリスマスなんて知らないから

そんな、僕の経験から遥か遠い事を歌う曲たちは青春の真っ只中の僕をやたらに不安にさせてばかりだった

それを真正面から救ってくれたのがニコラップだった

二次元の嫁への愛やリア充イベントへの皮肉をかっこよくラップで表現する様は

僕を元気づけ、よりこの世界へのめり込ませた

インターネットという裏側の場所でオタクというレッテルを武器に現実に向き合った曲たちは

僕にオタクによるhoodだとかrepresentだとかrealのような概念を教えてくれた

インターネット原産のヒップホップにハマった瞬間だった

僕らには拙さを度外視にして肯定してくれる居場所が必要だった

誇れる何かが欲しかった

だから不愛想ながらも、それらを与えてくれる環境に、僕らは自然に愛を注いだ



ネットラップは一回死んだ方がいいよ、そっから一周回ってまた生まれるのがネットラップだ

NetRap is Dead

これは僕らがとてもよく耳にした言葉だ

当時の僕らは、いやいやー、と聞き流してばかりだった


ネットラップという世界が僕らから見ても大きくなり、その定義が曖昧になるのは仕方がないことだ

何故なら、言及する者がいないまま新規が増加し大衆化したからだ

ネットラップはよく分からないもの、概念

とよく言われ、だれも深く言及しなかった

すれば、叩かれたり、新規確保のための枠を縮める可能性もあるという見方もあったからだ

僕らを含め、誰もそんなことは望んでいなかった

でも、あの時に必要だったのはたぶん、十分広げた間口をさらに拡張することではなく、奥行を広げることだったと思う

入口付近で足を止めている人は出口にも一番近いのだから

去る者を追わずは常に正しいことではないのだ


この言葉はネットラップという文化が一度パンクするべきだとしている

今年の再定義こそ、パンクの前兆若しくはまさにその年だと思う

ならば、死んだ後、なおまた生まれるためにどうすべきか

生まれ変わった姿に、僕らの愛したネットラップを残すにはどうすべきなのか

ネットラップオタクは声をあげるべきだ

好きな曲を上げてネットラップについて語る、オタクとしてはごくごく普通のことをすればいい

プレイヤー兼リスナーも関係はない

古参も500軍も関係はない

生まれ変わるネットラップとそれ以前のネットラップを区分けするようなことがない未来を作るためにも

ネットラップオタクよ、声をあげよう



ネットラップって他のところでは聞けないよね、ここでしか聞けないよ

ネットのラップなのかネットでラップなのか

一文字の違いだけでも意味合いは大きく異なる

僕らの愛読書のネットラップの本も作ってみたに掲載されてるOMITさんの記事にも書かれているが、ネットラップはヒップホップ足り得る

これには僕も同意をしていて、先の文章でも言及している

しかし、これは個々の見解に、本当に難しい微妙な違いが生ずることがある

これについて明確な答えを導くにはより多くの人の声を聞かなければならないが、こと僕の声だけをあげるとすれば

ネットのラップかネットでラップなのか、だ

ネットのラップでしか聞けない何かと、ネット以外でも聞けるようなラップなのか

外の影響を殊更に受けなければならないことは全くない

僕らはネットラッパーをアーティストとして見てないし、スターに仕立てたい訳でもない

ただ、ネットで出会ったラップのうまいオタク達に感銘を受け、応援したいだけなのだ

上手い人や流行りの曲を聴きたいならCDショップに行く方がいい

それでも、インターネット原産のラップを愛してるから、インターネットに飛び込むのだ

時代は流れ、時間は進む

その過程で変化しないことの方が難しい

しかし、それでも、わざわざインターネットの裏側まで覗きに行く手間を惜しまない

ここでしか味わえない空気を誇りにしてほしい

ネットでラップすることがネットラップの根源だけど、ネットのラップを愛する人を増やすことが

最終的に必要なのではないかな、と僕は考えてる




闇の一つや二つ、持ち合わせてなくて何がネットラップだ!

君たちの大好きなあいつも裏ではすごく頑張ってアルバイトしてる

ネットラップには副業としてラップしてる人がほとんどだと思う

メインの生活から滲み出る感情をパソコンにマイクを刺してラップとしてネットに公開するオタク

冷静になってみると、かなりヤバい奴である

通常ではない

でも、そんな曲に共感する奴がいる

救われる人がいる

家族や友達に聞かせづらいネットラップ

その本質は闇なのではないかと思う

インターネット「なんかで」どっかのだれかの曲「なんかを」好き好んでる「変わり者」なのだ

「すまんな、母さん、おれニコニコ動画で『こんなこと』やってるよ」

母親の顔なんてそっちのけでアガる僕ら

そこに溢れる闇をこよなく愛してしまう僕らなのだ

出典元
 WE ARE W.W.W 2014/まゆむしverse
トラックメイカーズマイクリレー/MC壁verse




DJタイムにネットラップクラシックが流れたとして、それに気付けない、そんな自分は嫌なんだよなぁ

一昔まえに「ネットラップパンチラインbot」なるものが突然現れた

そのボットは僕の知らないMCやネットラップのパンチラインを軒並み掲載していた

僕は衝撃を受け、視界がまた広くなるのを感じた

と同時に、焦った

僕の知ってたネットラップは片鱗であり、全体から見たホンの一握りだったのだ

ネットラップが好きなのに、ここに上がってるパンチラインをほとんど知らないことに当時の僕は自分自身に矛盾を感じた

僕は本当にネットラップを楽しみたかった


過去曲を知らないからネットラップを楽しんでない、と言いたいわけではない

それが程度の差であるのは当然であり、強要もまた、されるものではない

しかし、敢えて書くと、ネットラップを本当に楽しみたいなら過去のことまで遡る事は大切なことだと思う

歴史を知れば曲の中身に深みが出ることがある

「あなたに届くように上げた声」は別の口を伝いメジャーにまで届いた

「夜中1時くらい回ったクロック」は黎明期から確かに時間が進んでいる事を再認識させてくれた

クラシックはクラシックたる所以がある

バズった曲だけがクラシックな訳ではない

ただ、このような聴き方をするためにネットラップをdigするのはごく一部の変わり者だけである

だから、皆に強要はできない

しかし、全員がネットラップオタクになる必要はないが、全員がライトリスナーに収まる必要も同じようになくていいはずだ

もし、貴方がネットラップを知りたいと思い、その過程に煩わしさを感じているなら、周りを見渡してほしい

表に中々顔を出さないがネットラップオタクは意外に多い

興味があるなら僕を含め彼らに声を掛けてみてほしい

僕らは喜んで歓迎する

そして、DJタイムで一緒に飛び跳ねたい

出典元
 ありがとうのうた/らっぷびと
 NET RAPPER’S DELIGHT PT.1/MCぬるぽ




僕はネットラップが好きだった

過去形なのは最盛期の自分ほど熱中しているか、自信をもって書けないからだ

色んな理由があると思う

それはネットラップそのものであったり、自分の変化であったり

僕らは老害と呼ばれる類いなのかもしれない

けれど、僕らが好きだったネットラップが今、変わろうとしているならば

古参や所謂500軍ひいてはリスナーの声もまた無視されるべきではないと思う

だから僕、伊賀栗改めとごりはキーボードを叩くことにしたのだ



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